2018/05/29

2016年の3月11日は、たぶん日曜日、当時のバイト先である書店の営業最終日だった。

ユニクロからし色のとっくりセーターを着ていったら、異動でもう店舗にはいなかったけれどその日はお店に来ていた元社員さん(Aさん)も同じ色のセーターを着ていておかしかった。当日は、Aさんが企画した対談イベントが店内で行われていて、撮影のために来た人が、「セーターの色が同じだから、どっちが写ってるのか一瞬わからないよ」っておかしそうに言われたのもおもしろかった。

もともと、Aさんが店舗のツイッターアカウントでつぶやいていたことがすてきだったことがそこでバイトをすることにしたきっかけであったし、後に教えてもらった個人アカウントのつぶやきもすてきだし、DMのやりとりもあまりにすてきだし、で、大好きな人だったので、ただ偶然セーターの色が一緒だったっていうだけでとびはねるほどおかしかった。嬉しいっていうか笑っちゃって楽しかった。

 

翌年5月21日、付き合っている人間の誕生日に、その人間と一緒にABC本店での奥山由之さんと佐内正史さんのトークイベントへ行った。(奥山さんの写真集刊行記念のイベントだったので、奥山さんの名前が先)

前述のセーターより、もうすこし渋めのからし色のワンピースを着ていった。

そうしたら、奥山さん佐内さんお二方ともからし色のお召し物を着ていて(奥山さんはトップス、佐内さんは覚えてない)、あ~かぶったな~うれしいな~と思った。

思ったので、メモ用ノートに「3.11 からし色のとっくりセーターを着てったら、(A)さんとセータの色がかぶった。5.21 からし色のワンピースを着てったら、佐内さん奥山さんとかぶる」とメモをした。

 

そして今年の1月にあった奥山さんと葛西さんのトークに行ったときにも、奥山さんは半年前と同じトップスを着ていて、わたしは(ああなんでわたしはからし色のセーターを着てこなかったんだろう)と後悔した。

ので、先日5月27日にあった上田義彦さんと奥山さんのトークのときには1年前と同じワンピースを着ていった。

 

ABCでのトークへは、同じ人間と一緒に行くことが多くて、時間ぎりぎりに席に着くことが多い。なぜか

だけれど、上田さんのトークの日は、15分前には会場に到着できて、前から2列目のまんなから辺の席へ座った。すこしだけ時間をかけて、たくさんの空席のなかから自分たちの座る場所を選べた。

2,3分したらわたしの隣にたぶん20代の男の人が座った。

その男の人が座って2、3分くらいしてふと彼の足元を見たら、からし色が目に入った。スニーカーは白色で、靴下がからし色だった。

1年前のメモの下に「2018.5.27 右どなりの人のくつしたがからしいろ」といそいで書いた。

 

写真家は、もしかしたら周りの人には見えていないかもしれない、なにか自分という存在を超えたものに気付けることが、大切だったか必要だったかは忘れたけど、そういう「気付き」のことを上田さんはトークでお話していた。

「自分がそこにいることが幸運だと思いませんか。また、自分が幸運だということにも気付いたことが幸運ですね」ともお話していた。

 

写真には写らない「そこ」だけれど、気付けて嬉しかった~ということ

絵をうまくかけるようになれたらいいけれど、写真をうまくとれるようになれたらいいけれど、よい文章が書けるようになったらいいけれど、などこういうことができるのはいいな~と思うことは多いけれど、1番は上田さんのように、気付ける受信機の精度を高めていけたらいいな~ということで、まだそれは「なにかからし色をした自分というそんざいを超えたもの」くらいしか受信できていないんだけど、それを今はたんたんと記録をしてゆく。修行をしてゆく。